ストレスや感情の変化に左右された食行動はエモーショナル・イーティングと呼ばれる.エモーショナル・イーティングが発生する原因として,ストレスや生活習慣の乱れによる自律神経やホルモンバランスの乱れがあげられます.したがって,自律神経の活性度やホルモン分泌量を継続して観察・分析することで,エモーショナル・イーティングの発生を予期することが可能です.しかし,それらの計測には特殊な生体センサが必要であり,また長時間の使用は負担が大きいのが現状です.
本研究では,ユーザが日常的に利用しており,かつ利用者の行動パターンの特徴が表れるスマートフォンのセンサ情報と機械学習を組み合わせることで,エモーショナルイーティングの検知に取り組見ました.そして,スマートフォンのセンサデータと食生活データを収集する SEED システムを構築し,収集データからエモーショナル・イーティングを検知する機械学習モデルを作成しました.本システムを用いて 60 人の被験者から 28 日間のデータを収集したところ,87.5%の精度でエモーショナル・イーティングを検知することに成功しました.
研究成果
- 栄元優作, 西山勇毅, 大越匡, and 中澤仁, “HealthyStadium:他者評価とゲーミフィケーションを用いた食習慣改善ソーシャルメディア,” 情報処理学会論文誌, vol. 60, no. 10, pp. 1881–1895, 2019.
- 栄元優作, 佐々木航, 西山勇毅, 大越匡, and 中澤仁, “モバイルコンピューティングによるエモーショナル・イーティングの検知,” in 情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム], 2020, vol. 65, no. 39, pp. 1–8.